『人に関心をもつ』

とある企業の営業力強化トレーニングをしているときに、
ある受講者の方から、こんな質問を受けました。


 「もっと、お客様のキーマンと繋がりたいのですが、
  どうしたらよいでしょうか?」

おそらく40代前半でしょうか。
受講者のAさんは、とても自然な口調で
そして手のあげ方、姿勢のよさから、いかにも誠実そうな方でした。


Aさんに、もう少し、お話を聞いてみました。

 「実は、先方とは、もう長いお付き合いが代々あります。
  私の上司が、先方のキーマンのB部長と繋がっていて、
  上司がいるときは、B部長はいろいろな裏情報や内情を
  話してくれます。
  ですが、私だけのときは、そこまで話してくれないのです・・・」


私は言いました。

 「なるほどぉー。・・・で、どうしたいんです?」


少しだけ強く、彼は言いました。

 「もっと信頼してほしい。
  もっと、いろんなことを打ち明けてほしいんです・・・・」


 「そうですか。
  もっと、信頼して欲しい、打ち明けて欲しいのですね。
  仮に、Aさんが、そのB部長だったとしますね。
  どうすれば営業マンを信頼できます?
  どうすれば、打ち明けちゃいますか?」


彼は答えました。

 「・・・・そうですねぇ。
  気さくな感じ。
  あと、裏表がない。
  ・・・・うーんと、そうですね。
  やっぱり、自分のことばっかりじゃなくて、
  相手のことを大事にしてくれる人を信頼すると思います、B部長は。」


 「なるほどぉー、重要ですよね。
  でも、Aさんは、見た感じ、気さくさと、裏表のなさは
  もう既に手に入れている感じがしますが、いかがですか?」


Aさんは、私の言葉に少し照れた様子で笑みを浮かべました。


しかし、すぐに、その笑みは消え、真面目な顔でこういいました。

 「・・・・相手を大事にする、というのは少し弱いかもしれません。
  そもそも、関心を持ててないのかも・・・・」


私は、少し間を置いて、こう続けました。

 「そうですか・・・・・。
  では、Aさん、いくつか質問させてくださいね。
  連続で質問をしていきますが、答えなくても結構です。
  ただ、頭の中で答えていただければ。いいですか?」

 「はい。」


「 ・・・・B部長の家族構成はご存知ですか?

  ・・・・お子さんは何歳?

  ・・・・休日はどんな生活?

  ・・・・何にこだわりがあると思う?

  ・・・・食事は何が好きだと思う?

  ・・・・趣味は?

  ・・・・どんな車に乗っている?

  ・・・・心配事は?

  ・・・・彼の上司との気がかりは?

  ・・・・部下との関係は?

  ・・・・B部長が夜、自宅に帰って風呂に入って、
     何を思って就寝すると思いますか?」


2分くらい、ありとあらゆる角度で質問をし続けました。


 「・・・・で、この質問をうけてみて、何か感じましたか?」


最後の質問のときには、既にAさんの顔には少し明るさが戻っていました。


 「はっきりしました…。
  自分がしたいことばかり考えていたように思います。
  B部長のことは何も考えていない。
  何も知らない自分がいたんです。

  今はものすごくB部長に興味、関心がわいてきました!
  そういえば、私の上司は、今の質問、
  おそらく全て答えられると思います・・・・・」


自分のことを認めてほしいときには、まず相手を認める必要があります。
相手がそこにいる、ということを認めなければいけません。
自分のことばかりに関心をもって、人に関心がなくなると、
目の前にいる大事な人を失ってしまいますよ。

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