ある企業の経営企画の方から相談を受けました。
「社長の言動が、社員のモチベーションを著しく低下させている」と。
メーカーの親会社からの期限付き出向という形での社長で、
いずれ親会社に帰ることが決まっている上に、
本人も社員にそれを公言してしまっている、というのです。
「関心は、目の前の俺たちではなく、親会社に帰ることだろ?」
これが、多くの社員たちが持つ「心ここにあらず」の社長に対する評価です。
一方で、社長に取り入るような態度をする者が優遇を受けるという
不公平人事により、派閥が生まれ、
社員がインフォーマルネットワークで噂話をしたり、
同僚同士で足を引っ張り合ったりといった、
「生き残りのために非生産的な活動(サバイバルプログラム)」の
スイッチも入ってしまったそうです。
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また、別の企業で、中堅幹部以上による企業風土改革のお手伝いをしていたときのこと。
半年にわたる活動が一区切りとなり、打ち上げ会が行われました。
そこでは、社長よりメンバーへ、これまでのねぎらいと
今後の本格的なキックオフに向けた応援の言葉をいただく予定でした。
しかし、社長からのこんな一言に、
これまで共に歩んできたメンバー全員が、驚きと脱力感に包まれてしまいました。
「私の次の社長には、一日中、ずっと社長室で新聞を読んでいるくらい、
楽な状態にしてからバトンタッチしたい」
………。
おそらく社長としては、
「そのくらい基盤づくりをきちんとしてから次世代に渡したい」
という気持ちからの発言だったとは思います。
しかし、社員たちは、そうは捉えていませんでした。
そんな暇な社長はいらないよ。何なんだよ、俺たちがこんなに働いているのに。
そんな遊んでばかりいる社長なんかにもなりたくねーよ……。
打ち上げ会の中でのメンバー同士の会話は、お互いの頑張りをねぎらう場から、
一転して、不平不満を吐き出す場へと変わってしまいました。本当に残念なことです。
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このような事例はまだあります。
以前もご紹介しましたが、
カリスマ創業社長により牽引されてきたある企業から、次世代幹部育成プログラムの依頼を受けました。
その初日の集合研修で、社長からの挨拶がありました。
しかし、彼の口から出た言葉は、参加者の誰もが驚く内容だったのです。
「えー、はじめに言っておくが、そもそも、俺は君たちには、期待していないから!
もう、その年齢の君たちがこんな研修なんか受けても、変わらんだろう?」
これで一気に、彼らのやる気はつぶされてしまいました……。
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リーダーとは、メンバーがいてはじめて成り立つ存在です。
そして、社員を方向付け、勇気付け、自分だけではできない夢を
実現するために社員を巻き込み、動かしていく。
その結果、実現できたときには、協力してくれた仲間たちに感謝をする存在でもあります。
ところが、リーダーの取る行動や一言がきっかけになって、
今回の事例のようにメンバーのモチベーションを一瞬にして下げてしまうこともあります。
このように、リーダーは、本人が好む、好まざるに関わらず、
すでに大きな影響力を手にしてしまっています。
それをマイナスの影響力にするのではなく、プラスの影響力にするにはどうしたらいいのか。
リーダーは、ここに興味と関心と改善努力を図りつづけていかなければならないのです。
あなたの発言の裏側にある意図をもう一度確認してみてください。
もし、「そんなつもりはなかった……」というのならば、
態度や言葉の表現方法のスキルを高めるため、ぜひコーチを受けるべきです。
あなたはすでに「見る立場」というだけでなく、
多くの人から「見られる立場」なのですから。
あなたが、ここ一ヶ月で発した部下たちに対するメッセージ。
部下たちは、どんなふうに見ていたでしょうね?
今日もきっと・・・I・W・D!